2020年01月30日
相撲道の美学を貫いた大関豪栄道の引退
大関豪栄道が引退した。豪栄道ファンの一人として一抹の寂しさがある。現役に拘る白鵬や鶴竜の両横綱や、大関から陥落した栃ノ心や琴奨菊を見てるとまだやれそうな気もするが、この潔さこそが相撲道の美学というものだろう。
平成26年7月場所後に大関昇進。口上では「武士道を貫く所存です」と決意を述べた。昇進するも負け越しやカド番が続いた平成28年9月場所、全勝優勝するもまたケガに泣いた。それでも投げやりにならずに意地で大関の地位を守り続けた。
引退会見では、清々しい表情で「数年前から大関から落ちたら引退しようと心に決めてやっていた」と引退決断に至った理由を吶吶と語った。
力士としての信念について聞かれ、「痩せ我慢というのが心の中にあって、苦しいときにそのことを人に見せないように努めてきた」と話した。
「痩せ我慢の気風」というのは、「優遇されるのが当たり前」と権利ばかりを主張するが現代人には忘れ去られてしまった日本人の美徳でもある。
福沢諭吉は「痩せ我慢の記」の中で、「一片の痩せ我慢こそ百千年後に至るまで、国の独立を維持する上で大切である」と説いている。
福沢翁は、徳川の幕臣だった勝海舟と榎本武揚が、敵方である薩摩・長州中心の新政府から優遇を受け、大臣に昇りつめた出世を厳しく批判している。
「勝海舟は只管講和を主張し、官軍と一戦も交えず開城したのは、要素たる士風を損なった。例え、内乱が国家にとって無益大害の極みであっても、抵抗するのが武士の意気地ではないか」と批判してるが蓋し正論。
言い訳をせず、弱音を吐かず、苦境の中でも置かれた己の地位を守る為に全力を尽くした豪栄道は、正しく痩せ我慢を貫いた勝負師そのものだった。
引退し年寄武隈を襲名した豪栄道は今後の夢を、指導者として「自分は横綱に上がれなかったので横綱を育ててみたい」と目標を掲げた。
福沢翁は、「樹木を植えて、三十年経たなければ材木とはならない。だからこそ後世の為に木を植えるべきである」「今日用いる材木は昔の人が植えたものだ。とすれば、どうして後世の人の為に植えないで良いだろうか」と教える。
豪栄道の師匠の境川親方は、常々弟子達に特攻隊員が出撃前に家族に宛てた手紙の朗読を聞かせるという。先人の犠牲の上で相撲が取れる有り難さを教えることで、自分を奮い立たせて貰いたいという願いだろう。
豪栄道は境川親方を「義理と人情を大事にされる方。そういうところを学んだ。親方の下で相撲を取れて良かった」と語る。境川親方も「弱音を吐かない。男のど根性は誰よりも持っていた」と愛弟子を褒めた。師弟の絆の深さを知る。
この親方にしてこの弟子在り。義理人情と英霊への感謝を忘れない師匠の教えとを忠実に受け継ぎ、武士道精神を重んじている豪栄道は、親方として「後世の為に弟子という木を植え、相撲道の発展に尽くして貰いたい。
※コメントは会員のみにさせて頂いておりますが、コメント入力希望の方はパスワードを教えますのでmr.cordial@live.jpへ御気軽にメールを寄せられたい。
《会費&御支援》みずほ銀行 郡山支店 普1464729
平成26年7月場所後に大関昇進。口上では「武士道を貫く所存です」と決意を述べた。昇進するも負け越しやカド番が続いた平成28年9月場所、全勝優勝するもまたケガに泣いた。それでも投げやりにならずに意地で大関の地位を守り続けた。
引退会見では、清々しい表情で「数年前から大関から落ちたら引退しようと心に決めてやっていた」と引退決断に至った理由を吶吶と語った。
力士としての信念について聞かれ、「痩せ我慢というのが心の中にあって、苦しいときにそのことを人に見せないように努めてきた」と話した。
「痩せ我慢の気風」というのは、「優遇されるのが当たり前」と権利ばかりを主張するが現代人には忘れ去られてしまった日本人の美徳でもある。
福沢諭吉は「痩せ我慢の記」の中で、「一片の痩せ我慢こそ百千年後に至るまで、国の独立を維持する上で大切である」と説いている。
福沢翁は、徳川の幕臣だった勝海舟と榎本武揚が、敵方である薩摩・長州中心の新政府から優遇を受け、大臣に昇りつめた出世を厳しく批判している。
「勝海舟は只管講和を主張し、官軍と一戦も交えず開城したのは、要素たる士風を損なった。例え、内乱が国家にとって無益大害の極みであっても、抵抗するのが武士の意気地ではないか」と批判してるが蓋し正論。
言い訳をせず、弱音を吐かず、苦境の中でも置かれた己の地位を守る為に全力を尽くした豪栄道は、正しく痩せ我慢を貫いた勝負師そのものだった。
引退し年寄武隈を襲名した豪栄道は今後の夢を、指導者として「自分は横綱に上がれなかったので横綱を育ててみたい」と目標を掲げた。
福沢翁は、「樹木を植えて、三十年経たなければ材木とはならない。だからこそ後世の為に木を植えるべきである」「今日用いる材木は昔の人が植えたものだ。とすれば、どうして後世の人の為に植えないで良いだろうか」と教える。
豪栄道の師匠の境川親方は、常々弟子達に特攻隊員が出撃前に家族に宛てた手紙の朗読を聞かせるという。先人の犠牲の上で相撲が取れる有り難さを教えることで、自分を奮い立たせて貰いたいという願いだろう。
豪栄道は境川親方を「義理と人情を大事にされる方。そういうところを学んだ。親方の下で相撲を取れて良かった」と語る。境川親方も「弱音を吐かない。男のど根性は誰よりも持っていた」と愛弟子を褒めた。師弟の絆の深さを知る。
この親方にしてこの弟子在り。義理人情と英霊への感謝を忘れない師匠の教えとを忠実に受け継ぎ、武士道精神を重んじている豪栄道は、親方として「後世の為に弟子という木を植え、相撲道の発展に尽くして貰いたい。
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cordial8317 at 06:35│Comments(0)
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