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2015年04月05日

貴方様より貴い神が現れたので皆喜んで騒いでいるのです

 昨夜は満月が地球の影にすっぽり入り、月が赤銅色になる皆既月食が観測された。桜が咲いてる処では夜桜とのコラボを愉しめた様だ。最近では何事も科学的な事象ばかりが優先され、月食や日食も単なる天体ショーとして捉えられているが、古来の我が国では日食と月食の日は「穢れの日」として忌み嫌われていたこともある。

 月や太陽から放たれる光は「妖光」として捉えられ、幕末までは日食の日には不吉な日として天皇の祭祀と政務を一切取り止めた。天変地異や疫病などが起きると本気で信じられ、この妖光から天皇の玉体を護って来たことが窺える逸話だろう。

 こうした「不吉」は別に神道だけに限ったことではない。ヒンズー教などもそうだが、皆既月食や皆既日食を「災いが起こる前兆」として恐れ、祈りを捧げる。

「天岩戸(あまのいわと)」という神話がある。天照大御神が天の岩戸に篭ってしまい、世界が真っ暗闇になり、悪神が蔓延ったという日本の代表的神話であろう。

 伊邪那岐神(いざなぎのかみ)は、「天上界を天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、夜の国を月読命(つきよみのみこと)が、海原を須佐之男命(すさのおのみこと)が治めよ」と命じられた。ところが、須佐之男命だけはその任務を果たさず、その為悪神が蔓延り、諸々の禍が彼方此方で湧き起こる始末だった。

 伊佐那岐神は酷く怒り、「お前の様な者に用は無い!」と追放する。

 困った須佐之男命は、姉の天照大御神を頼る。

 姉の許で暫くは大人しくしていたが元々気性の荒い須佐之男命は、程なく種々の乱暴を働く様になった。天照大御神の耕す田を壊し、御殿に糞を撒き散らす。

 それでも天照大御神は大目に見ていた。

 だが、服屋(はたや)で神聖な衣装を織っていたら、皮を剥いだ馬が屋根を打ち抜いて投げ込まれ、服織女(はたおりめ)が死んでしまった。犯人は勿論、須佐之男命である。これには流石の天照大御神も激怒し「天の岩戸」に篭ってしまった。

 天照大御神が隠れると世界は暗闇となり、悪神達が蔓延り始める。 そこで高天原の諸神である八百万の神々は、天の河原に集い策を取ることになり、思金(兼)神(おもいがねのかみ)の提案で、先ず岩戸の前に常世の長鳴鳥を集め鳴かせる。

 次に伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと)に、八尺鏡(やたのかがみ)、玉祖命(たまおやのみこと)に八尺勾玉(やさかのまがたま)を作らせ、布刀玉命(ふとだまのみこと)には御幣を、天児屋(根)命(あめのこやねのみこと)には祝詞を奉じさせた。※因みに平田篤胤の説では思金神と天児屋命は同一神としている。

 岩戸の真ん中では、天宇受売命(あめのうずめのみこと)が乳房や女陰を露に神憑りの踊りを大乱舞(今でいうストリップ)。これを見て八百万の神がどっと笑うと、天照大御神は気になって気になって岩戸をそっと開けて「何事か」と聞く。

 そこで思金神は、「貴方様より貴い神が現れたので皆喜んで騒いでいるのです」と天照大御神に八尺鏡を差し出した。すると天照大御神は、そこに映った自分の姿をその貴い神と勘違いし、猶もよく見ようと身を乗り出したところを、怪力の天宇受売命が岩を投げ飛ばし外に出すこに成功し、漸く世界に再び光明が戻ったという。

「皆既月食」という自然現象を、神の世界の事件と捉えた古代日本人の信仰と伝承こそ、実は科学的だったのではなかろうか。科学万能の時代であるが、畏れや感謝を知る上でも、こうした神話や古来の教えも伝承して行かなければならないと感ずる。

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cordial8317 at 07:54│Comments(0)

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