2013年12月07日
一族の者が皆礼儀を心得て親子兄弟の間に不和が無いこと(佐久間象山)
司馬遼太郎の「峠」を読み出した。昔読んだが忘れてた部分もあるし、新たな発見もある。本というのもそれっきりのものもあればまた出会うものもあり、これも邂逅であると思う。河井継之助という人物は実に好い。後々綴りたいと思う。
継之助が師事した人物に佐久間象山がいる。象山は愚生と姓が同じということもあり、気になる歴史上の人物の一人だが、継之助は、象山の尊大さや勿体付ける教え方に辟易して遠ざかったという。継之助の心境が何となく分かる気がする。
象山は、その尊大な物腰から、毀誉褒貶相半ばする人物として知られているが、自ら「天下の師」を任じ、その態度は人を見下す倣岸不遜な人物だったという。
言行は兎も角として幕末に於ける最高の思想家には違いない。身長五尺八寸、道行く時は萌黄色の五泉平の馬乗り袴を穿き、黒文字肩衣に白縮みの帷子を羽織り、備前長光の白柄の太刀を差し、まるで自己顕示欲の俗物が歩いている様なもの。
そうしたこともあって、京都三条木屋町で「人斬り彦斎」こと河上彦斎に暗殺された際も、仕えていた信州松代藩では同情する者も少なく、佐久間家は断絶の処分を受けたというから、如何に嫌われていたことが分かる。だが、その暗殺者の彦斎は象山を「絶代の豪傑」と呼び、幕末の傑物、山岡鉄舟は「人傑」と慕っている。
吉田松陰も象山の弟子だったのは有名だろう。幕末のペリー艦隊(黒船)への渡航計画を企てたのも象山だった。そんなこともあり、松陰が縛についた時には同時に象山も連座して同罪となり、国元の信州松代で蟄居の処分を受けている。
その時に象山が書いた「省諐(せいけん)録」というものがある。(せいけんとは、過ちを省みるという意味)その中の一つに次の様な一節がある。
「君子には五つの楽しみがある」と始まる教えは。一つは、財産や地位とは関係なく、一族の者が皆礼儀を心得て、親子兄弟の間に不和が無いこと。
二つは、金品の授受をいい加減にせず、心を清く保ち、内には妻子に恥じず、外には民衆に恥じないこと。
三つは、「聖学」を学んで天地自然や人間の大道を心得え、時の動きに従いつつも正義を踏み外さず、危機に際しても平時と同じ様に対処出来ること。
四つは、西洋人が科学を発達させた後に生まれて、孔子や孟子の知らなかった処の「理」を知ること。
五つは、東洋の道徳と西洋の芸術(技術)と、この両方について余すところ無く詳しく研究し、これを民衆の生活に役立て国恩に報ずること。
この象山の教えが、後に「和魂洋才」となって、アジアで唯一の近代化を成し遂げることが出来るのである。思えば、敗戦後の我が国は「洋風気触れ(かぶれ)」ばかりで「和魂」という伝統的精神を忘却しているところに今日の悲劇がある。
大河ドラマの「八重の桜」で象山は、山本覚馬に、「新しいことをしようとする者、改革をしようとする者には必ず邪魔をする者が現れる。何故なら、既得権者は新しい動きを放置すれば、忽ち自分の拠って立つ基盤を失ってしまうからだ。それらを蹴散らして前へ!」と、こう言い放つ。今も昔も邪魔するヤツは変わらない。
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継之助が師事した人物に佐久間象山がいる。象山は愚生と姓が同じということもあり、気になる歴史上の人物の一人だが、継之助は、象山の尊大さや勿体付ける教え方に辟易して遠ざかったという。継之助の心境が何となく分かる気がする。
象山は、その尊大な物腰から、毀誉褒貶相半ばする人物として知られているが、自ら「天下の師」を任じ、その態度は人を見下す倣岸不遜な人物だったという。
言行は兎も角として幕末に於ける最高の思想家には違いない。身長五尺八寸、道行く時は萌黄色の五泉平の馬乗り袴を穿き、黒文字肩衣に白縮みの帷子を羽織り、備前長光の白柄の太刀を差し、まるで自己顕示欲の俗物が歩いている様なもの。
そうしたこともあって、京都三条木屋町で「人斬り彦斎」こと河上彦斎に暗殺された際も、仕えていた信州松代藩では同情する者も少なく、佐久間家は断絶の処分を受けたというから、如何に嫌われていたことが分かる。だが、その暗殺者の彦斎は象山を「絶代の豪傑」と呼び、幕末の傑物、山岡鉄舟は「人傑」と慕っている。
吉田松陰も象山の弟子だったのは有名だろう。幕末のペリー艦隊(黒船)への渡航計画を企てたのも象山だった。そんなこともあり、松陰が縛についた時には同時に象山も連座して同罪となり、国元の信州松代で蟄居の処分を受けている。
その時に象山が書いた「省諐(せいけん)録」というものがある。(せいけんとは、過ちを省みるという意味)その中の一つに次の様な一節がある。
「君子には五つの楽しみがある」と始まる教えは。一つは、財産や地位とは関係なく、一族の者が皆礼儀を心得て、親子兄弟の間に不和が無いこと。
二つは、金品の授受をいい加減にせず、心を清く保ち、内には妻子に恥じず、外には民衆に恥じないこと。
三つは、「聖学」を学んで天地自然や人間の大道を心得え、時の動きに従いつつも正義を踏み外さず、危機に際しても平時と同じ様に対処出来ること。
四つは、西洋人が科学を発達させた後に生まれて、孔子や孟子の知らなかった処の「理」を知ること。
五つは、東洋の道徳と西洋の芸術(技術)と、この両方について余すところ無く詳しく研究し、これを民衆の生活に役立て国恩に報ずること。
この象山の教えが、後に「和魂洋才」となって、アジアで唯一の近代化を成し遂げることが出来るのである。思えば、敗戦後の我が国は「洋風気触れ(かぶれ)」ばかりで「和魂」という伝統的精神を忘却しているところに今日の悲劇がある。
大河ドラマの「八重の桜」で象山は、山本覚馬に、「新しいことをしようとする者、改革をしようとする者には必ず邪魔をする者が現れる。何故なら、既得権者は新しい動きを放置すれば、忽ち自分の拠って立つ基盤を失ってしまうからだ。それらを蹴散らして前へ!」と、こう言い放つ。今も昔も邪魔するヤツは変わらない。
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cordial8317 at 04:41│Comments(0)
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