2013年01月13日
安倍総理の提唱した「アジアの民主主義セキュリティダイアモンド」
Asia’s Democratic Security Diamond
http://www.project-syndicate.org/commentary/a-strategic-alliance-for-japan-and-india-by-shinzo-abe
アジアの民主主義セキュリティダイアモンド
2007年の夏、日本の首相としてインド国会のセントラルホールで演説した際、
私は「二つの海の交わり」 ─1655年にムガル帝国の皇子ダーラー・シコーが
著わした本の題名から引用したフレーズ─ について話し、
居並ぶ議員の賛同と拍手喝采を得た。
あれから5年を経て、
私は自分の発言が正しかったことをますます強く確信するようになった。
太平洋における平和、安定、航海の自由は、
インド洋における平和、安定、航海の自由と切り離すことは出来ない。
発展の影響は両者をかつてなく結びつけた。
アジアにおける最も古い海洋民主国家たる日本は、
両地域の共通利益を維持する上でより大きな役割を果たすべきである。
にもかかわらず、ますます、
南シナ海は「北京の湖」となって行くかのように見える。
アナリストたちが、オホーツク海がソ連の内海となったと同じく
南シナ海も中国の内海となるだろうと言うように。
南シナ海は、核弾頭搭載ミサイルを発射可能な
中国海軍の原潜が基地とするに十分な深さがあり、
間もなく中国海軍の新型空母がよく見かけられるようになるだろう。
中国の隣国を恐れさせるに十分である。
これこそ中国政府が東シナ海の尖閣諸島周辺で毎日繰り返す演習に、
日本が屈してはならない理由である。
軽武装の法執行艦ばかりか、
中国海軍の艦艇も日本の領海および接続水域に進入してきた。
だが、このような“穏やかな”接触に騙されるものはいない。
これらの船のプレゼンスを日常的に示すことで、
中国は尖閣周辺の海に対する領有権を既成事実化しようとしているのだ。
もし日本が屈すれば、南シナ海はさらに要塞化されるであろう。
日本や韓国のような貿易国家にとって必要不可欠な航行の自由は
深刻な妨害を受けるであろう。
両シナ海は国際海域であるにもかかわらず
日米両国の海軍力がこの地域に入ることは難しくなる。
このような事態が生じることを懸念し、
太平洋とインド洋をまたぐ航行の自由の守護者として、
日印両政府が共により大きな責任を負う必要を、
私はインドで述べたのであった。
私は中国の海軍力と領域拡大が2007年と
同様のペースで進むであろうと予測したが、
それは間違いであったことも告白しなければならない。
東シナ海および南シナ海で継続中の紛争は、
国家の戦略的地平を拡大することを以て
日本外交の戦略的優先課題としなければならないことを意味する。
日本は成熟した海洋民主国家であり、
その親密なパートナーもこの事実を反映すべきである。
私が私が描く戦略は、
オーストラリア、インド、日本、米国ハワイによって、
インド洋地域から西太平洋に広がる海洋権益を保護するダ
イアモンドを形成することにある。
対抗勢力の民主党は、私が2007年に敷いた方針を継続した点で
評価に値する。つまり、彼らはオーストラリアやインドとの絆を
強化する種を蒔いたのであった。
(世界貿易量の40%が通過する)マラッカ海峡の西端に
アンダマン・ニコバル諸島を擁し、
東アジアでも多くの人口を抱えるインドはより重点を置くに値する。
日本はインドとの定期的な二国間軍事対話に従事しており、
アメリカを含めた公式な三者協議にも着手した。
製造業に必要不可欠なレアアースの供給を中国が
外交的な武器として使うことを選んで以後、
インド政府は日本との間にレアアース供給の合意を結ぶ上で
精通した手腕を示した。
私はアジアのセキュリティを強化するため、イ
ギリスやフランスにもまた舞台にカムバックするよう招待したい。
海洋民主国家たる日本の世界における役割は、
英仏の新たなプレゼンスとともにあることが賢明である。
英国は今でもマレーシア、シンガポール、オーストラリア、
ニュージーランドとの五カ国防衛取極めに価値を見いだしている。
私は日本をこのグループに参加させ、毎年そのメンバーと会談し、
小規模な軍事演習にも加わらせたい。
タヒチのフランス太平洋海軍は極めて少ない予算で動いているが、
いずれ重要性を大いに増してくるであろう。
とはいえ、日本にとって米国との同盟再構築以上に重要なことはない。
米国のアジア太平洋地域における戦略的再編期にあっても、
日本が米国を必要とするのと同じぐらいに、
米国もまた日本を必要としているのである。
2011年に発生した日本の地震、津波、原子力災害後、
ただちに行なわれた米軍の類例を見ないほど巨大な平時の人道支援作戦は、
60年かけて成長した日米同盟が本物であることの力強い証拠である。
私は、個人的には、日本と最大の隣国たる中国の関係が
多くの日本国民の幸福にとって必要不可欠だと認めている。
しかし、日中関係を向上させるなら、
日本はまず太平洋の反対側に停泊しなければならない。
というのは、要するに日本外交は民主主義、法の支配、
人権尊重に根ざしていなければならないからである。
これらの普遍的な価値は戦後の日本外交を導いてきた。
2013年も、その後も、アジア太平洋地域における将来の繁栄もまた、
それらの価値の上にあるべきだと私は確信している。(安倍晋三)
http://www.project-syndicate.org/commentary/a-strategic-alliance-for-japan-and-india-by-shinzo-abe
アジアの民主主義セキュリティダイアモンド
2007年の夏、日本の首相としてインド国会のセントラルホールで演説した際、
私は「二つの海の交わり」 ─1655年にムガル帝国の皇子ダーラー・シコーが
著わした本の題名から引用したフレーズ─ について話し、
居並ぶ議員の賛同と拍手喝采を得た。
あれから5年を経て、
私は自分の発言が正しかったことをますます強く確信するようになった。
太平洋における平和、安定、航海の自由は、
インド洋における平和、安定、航海の自由と切り離すことは出来ない。
発展の影響は両者をかつてなく結びつけた。
アジアにおける最も古い海洋民主国家たる日本は、
両地域の共通利益を維持する上でより大きな役割を果たすべきである。
にもかかわらず、ますます、
南シナ海は「北京の湖」となって行くかのように見える。
アナリストたちが、オホーツク海がソ連の内海となったと同じく
南シナ海も中国の内海となるだろうと言うように。
南シナ海は、核弾頭搭載ミサイルを発射可能な
中国海軍の原潜が基地とするに十分な深さがあり、
間もなく中国海軍の新型空母がよく見かけられるようになるだろう。
中国の隣国を恐れさせるに十分である。
これこそ中国政府が東シナ海の尖閣諸島周辺で毎日繰り返す演習に、
日本が屈してはならない理由である。
軽武装の法執行艦ばかりか、
中国海軍の艦艇も日本の領海および接続水域に進入してきた。
だが、このような“穏やかな”接触に騙されるものはいない。
これらの船のプレゼンスを日常的に示すことで、
中国は尖閣周辺の海に対する領有権を既成事実化しようとしているのだ。
もし日本が屈すれば、南シナ海はさらに要塞化されるであろう。
日本や韓国のような貿易国家にとって必要不可欠な航行の自由は
深刻な妨害を受けるであろう。
両シナ海は国際海域であるにもかかわらず
日米両国の海軍力がこの地域に入ることは難しくなる。
このような事態が生じることを懸念し、
太平洋とインド洋をまたぐ航行の自由の守護者として、
日印両政府が共により大きな責任を負う必要を、
私はインドで述べたのであった。
私は中国の海軍力と領域拡大が2007年と
同様のペースで進むであろうと予測したが、
それは間違いであったことも告白しなければならない。
東シナ海および南シナ海で継続中の紛争は、
国家の戦略的地平を拡大することを以て
日本外交の戦略的優先課題としなければならないことを意味する。
日本は成熟した海洋民主国家であり、
その親密なパートナーもこの事実を反映すべきである。
私が私が描く戦略は、
オーストラリア、インド、日本、米国ハワイによって、
インド洋地域から西太平洋に広がる海洋権益を保護するダ
イアモンドを形成することにある。
対抗勢力の民主党は、私が2007年に敷いた方針を継続した点で
評価に値する。つまり、彼らはオーストラリアやインドとの絆を
強化する種を蒔いたのであった。
(世界貿易量の40%が通過する)マラッカ海峡の西端に
アンダマン・ニコバル諸島を擁し、
東アジアでも多くの人口を抱えるインドはより重点を置くに値する。
日本はインドとの定期的な二国間軍事対話に従事しており、
アメリカを含めた公式な三者協議にも着手した。
製造業に必要不可欠なレアアースの供給を中国が
外交的な武器として使うことを選んで以後、
インド政府は日本との間にレアアース供給の合意を結ぶ上で
精通した手腕を示した。
私はアジアのセキュリティを強化するため、イ
ギリスやフランスにもまた舞台にカムバックするよう招待したい。
海洋民主国家たる日本の世界における役割は、
英仏の新たなプレゼンスとともにあることが賢明である。
英国は今でもマレーシア、シンガポール、オーストラリア、
ニュージーランドとの五カ国防衛取極めに価値を見いだしている。
私は日本をこのグループに参加させ、毎年そのメンバーと会談し、
小規模な軍事演習にも加わらせたい。
タヒチのフランス太平洋海軍は極めて少ない予算で動いているが、
いずれ重要性を大いに増してくるであろう。
とはいえ、日本にとって米国との同盟再構築以上に重要なことはない。
米国のアジア太平洋地域における戦略的再編期にあっても、
日本が米国を必要とするのと同じぐらいに、
米国もまた日本を必要としているのである。
2011年に発生した日本の地震、津波、原子力災害後、
ただちに行なわれた米軍の類例を見ないほど巨大な平時の人道支援作戦は、
60年かけて成長した日米同盟が本物であることの力強い証拠である。
私は、個人的には、日本と最大の隣国たる中国の関係が
多くの日本国民の幸福にとって必要不可欠だと認めている。
しかし、日中関係を向上させるなら、
日本はまず太平洋の反対側に停泊しなければならない。
というのは、要するに日本外交は民主主義、法の支配、
人権尊重に根ざしていなければならないからである。
これらの普遍的な価値は戦後の日本外交を導いてきた。
2013年も、その後も、アジア太平洋地域における将来の繁栄もまた、
それらの価値の上にあるべきだと私は確信している。(安倍晋三)
cordial8317 at 08:56│Comments(0)
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