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2023年03月06日

「美しき日本人」を鍛え上げた武士道(山鹿素行)

 福島県の偉人に山鹿素行(やまがそこう)という人物がいる。陸奥国会津若松城下生まれ。素行というと一般には「山鹿流軍学の祖」、或いは赤穂浪士の精神的支柱として知られているが、実は江戸時代に於ける武士道の理論を確立した人であり、山鹿の門人達が素行の談話を筆記した「山鹿語類」や「中朝事実」は有名だろう。

 我が国の「神国思想」は、「天皇を戴く我が国こそが世界の中心である」という教えに導き、人々も日本こそが特別な神の国と信じる様になった。「中朝事実」では、世の学者の外国(主として漢土)崇拝を批判し、皇統の一貫を根拠に「日本こそ万国に卓越した中華・中国と呼ぶに相応しい国である」と日本主義を主張している。

 鎌倉時代末期、当時、地中海から日本海に至るまで支配力を強めていたモンゴル帝国が日本に襲来した際も、二度の台風に拠ってモンゴル軍を敗走に導いたのは、台風を「神の吹かせた風(神風)」と解釈したことで一層流布することとなった。

 神国思想では、国土を「神州」、国民を「神裔=神の子孫」、国権を「神授(神から委託された権利)」という。国民は神の子として「子が親に孝養を尽くす様に、国民が国に尽くすのは最も現実なる道徳である」との教えに辿り着く。

「教育勅語」も正にこの教えであるが、この神国思想を否定する左翼勢力や反皇室活動家らは「忠孝」を曲解し、根本的な「孝養」の教えも拒絶する。何故に拒絶するのかといえば、先の大戦と神国思想を結び付けてるからに他ならない。

 素行の武士道に戻るが、江戸時代二百六十七年の歴史の中で御家騒動は他にもあったが、唯一、赤穂藩の四十七士だけが「義士」と呼ばれ武士道の華と評価されたのは、素行の「正義の遂行」の本義に基づく教えが在ったからに他ならない。

 素行の提唱する武士道はその根底に儒学を置きはしたが、その性格は融通の利かぬ上っ面の「理」ではなく、現実的な「情」に重きを置くものだった。

 故に、その後の武士道は「正義」を道徳律の根本に置きながらも、その正義が衝突すると「仁」に重きを置き換え「武士の情け」という「情」を発揮するのである。但しこの「情け」は「仁の為に身を挺する」という献身の意味が含まれている。

 この「情け」が武士道の根底に有ったからこそ、上杉鷹山や恩田木工らの人間信頼に基づく改革が成功したのであり、江戸時代二百六十七年という長きに亘って、世界史的に見ても殆ど戦渦の無い平安な時代を築けたと言っても過言ではない。

 更に、武士道が目指した究極の目標は「誠」という徳目がある。誠という字は「言」と「成」から出来ているが、つまり「言ったことを成す」ということが大事であり、ここから「武士に二言は無い」という言葉が生まれた。

「青年日本の歌(昭和維新の歌)」の中で一番好きなのが「功名なんぞ夢の跡、消えざるものは唯誠、人生意気に感じては正否を誰か論う」だが、これもまた「誠」は「真言」であり、言が成る=「言ったことを成す」というものである。

 素行が説いたこうした「素行学」の偉大なるところは、それが単に江戸時代のみならず、幕末の吉田松陰が受け継ぎ、明治になってからは乃木希典などが信奉者となって、今日迄「素行会」なる思想研究会が続いていることである。

 素行の唱えた武士道は、嘗ての「美しき日本人」を鍛え上げた生き方であり、明治維新の最大の戦いであった「会津戦争」で、会津藩が無謀ともいえる戦いに臨んだのも、会津生まれの山鹿素行の教えが滔滔と流れていたからであろう。「たとえ義をもって死するとも不義をもって生きず」とは、松平容保公の言葉である。

「山鹿語録」の士道編は、「この世は万物の陰陽ニ気の微妙な配合によって夫々の使命を持っている。(略)武士に生まれた以上、当然、武士として職務がなければならない。何の職分もなく徒食をしている様では、遊民と軽蔑されても返す言葉がないではないか。この点を深く考えねばならない」と始まる。

 素行は、三民の上に立つ武士を「天下の賤民」だと諌め、武士とは驕らず分相応に生きるべきと教える。愚生も右翼浪人を気取りながらも貧賤に甘んじ、無為徒食する生活をしているが、沈沈として一陽来復を期し、正統右翼人であり、一維新者として丈夫の志しを屈することなく、生き様を示して行きたいと痛切に思う。

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cordial8317 at 05:42
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