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2023年07月11日

「袴田事件」DNA鑑定での有罪立証は検察のメンツと嫌がらせ

 袴田巌死刑囚の第二次再審請求が認められ、釈放されたのは2014(平成26)年3月の事。村山浩昭裁判長は、その再審決定の理由を「無罪である可能性が相当程度明らかになった現在、これ以上拘置を続けることは正義に反する」と述べた。

 再審公判で検察側は、確定裁判で「犯行の着衣」とされた5点の衣類のDNA鑑定を補充捜査し、有罪立証するという。検証結果如何では袴田さんの再収監の可能性も出て来たということだが、こうした不条理をいつまで続けるつもりなのか。

 検察は再審決定の際、「科学的に信用出来ない」と主張していたが、補充捜査で有罪立証可能との判断は、正義というものではなく検察のメンツと袴田さんへの嫌がらせ。過去に明らかになった違法捜査と捏造を謙虚に認め、猛省するべきだろう。

 所謂「袴田事件」は、昭和41年6月30日未明に、静岡県清水市(現静岡市)の味噌製造会社の専務宅から出火し全焼し、焼け跡から専務とその妻、次女、長男4人の焼死した遺体が発見される。事件当時、自宅に居なかった長女は災難を免れた。

 2ヶ月後、味噌工場の2階の寮に住み込みで働いていた袴田巌さんが逮捕された。 証拠品は、微量の血痕が付着したパジャマのみ。物的証拠が乏しい中、長時間の過酷な取調べに因って、犯行を否定していた袴田さんは終に自白してしまう。

 翌年8月31日の公判で、工場内の味噌タンクの中から麻袋に入っていた血痕の付着した衣類が発見され、パジャマから一転しこの衣類が決定的な証拠となった。

 パジャマの血痕や味噌タンクに一年も入っていたとは思えない衣服、犯行時に使用したと言われる切り出しナイフなど、誰が見ても不可思議な物的証拠と不当捜査だったが、昭和55年に上告が棄却され、袴田被告の死刑が確定した。

 翌年、静岡地裁に再審を申し立てるも平成6年に棄却される。そして平成26年の第二次再審請求で再審が決定されたが、死刑判決から実に34年の年月を要した。

 因みに、災難を免れた長女(橋本昌子)だが、家族関係などから真犯人の可能性が高いと言われていた。だが、袴田さんが釈放された平成26年に自殺している。

 再審請求に何故にこれ程までの年月を要したのかは、単なる司法のメンツでしかない。正に過ちを文(かざ)り、屋上屋を重ねてきた結果である。 冤罪を生む理由には、捜査のいい加減さや自白の強要、捏造、証拠品の不確かな鑑定など様々だ。

 現代では科学捜査が当たり前になっているが、一昔前には信じられない様な驚く鑑定が相次いだのも事実。 昭和24年、弘前大学の松永藤雄教授宅で妻が何者かに咽を斬られ殺された事件が起きた。捜査に拠って近所に住む那須隆が逮捕された。

 彼の着衣から血痕が見つかり、それを証拠に犯人と断定された。彼は犯行を否認した儘で起訴され、裁判で有りがちな「反省も無い」との理由から情状は認められず、15年の刑を丸々務めることになった。だが、那須さんが釈放されて間もなく、「弘前大学教授夫人殺害は自分だ」と、滝谷福松という男が名乗り出る。

 自首した滝谷の証言に由れば、教授宅はミシン修理に行って面識もあり、犯行時の詳細を供述しており、教授婦人殺しは紛れもなく滝谷の犯行だったことが明らかになった。 那須さんは早速仙台高裁に再審請求するが、何故か高裁は棄却した。

 その2年後、再審請求すると今度はあっさり受理され、無罪判決が出た。鑑定の結果、当時証拠とされた着衣の血痕は別のものだったという。証拠の信憑性の無さは誰もが判りきっていたにも拘らず、何故に2年前には再審請求が却下されたのか。

 何のことはない、捜査で血液鑑定を行った古畑種基東大教授が未だ生きていたからだった。文化勲章受章者の古畑教授のメンツを守る為に却下されただけのこと。

 法の正義より、科学捜査研究所所長も務め、文化勲章を授与された古畑教授の名誉を守ることが優先された。再審請求された2年の間に古畑が鬼籍に入り無罪判決を得るが、こんな杜撰な鑑定や不当な判決が行われていたという事実に驚きは隠せない。

「袴田事件」も同じ様なもので、法の下の正義が蔑ろにされた。事件を担当した紅林麻雄刑事は拷問による尋問、自白の強要、懐柔、供述調書の捏造、自己の先入観、固定観念による違法捜査、違法な取り調べの常習者だったことは夙に有名な話し。

「二俣事件」「幸浦事件」「小島事件」など、紅林刑事が過去に主導した数多くの捜査でも、その行き過ぎが指摘されている。冤罪を生む元凶は、捜査に携わる人間の驕りや傲慢さ、更には間違いを認めずに更なる屋上屋を架すからである。

 冤罪で逮捕される方も気の毒だが、冤罪は真犯人を取り逃がすことになる訳で、被害者遺族にとってもその無念が晴れることは無く、断腸の思いだろう。

「過ちて改めざるこれを過ちという」「過ちては即ち改むるに憚ること勿れ」という諺がある。喩え、司法と雖も人間が行う上では過ちは犯すものだ。その過ちを素直に認め、改めることこそ、正義や法を守る上では最も大事なことだと思う。

 袴田さん本人や姉の秀子さん、そして多くの袴田冤罪事件に奔走している方々は、検察側の有罪立証に落胆することなく、司法の正義の為に頑張って頂きたい。

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cordial8317 at 05:29│Comments(0)

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