今の境遇に合わせて、家に閉篭り、寝て暮らそうと考えている(葉隠)今年は当該ブログは一日も欠かさずアップしてみたが・・・

2023年12月30日

どうだろう、皆さんは「らしく」生きていますか?

 日本人は勤勉な国民だと言われる。何故に勤勉なのかと問えば、「貧しかったから」だと答える人が多い。だが、日本より貧しい国は沢山在ったが、それらの国民も勤勉かといえばそうとは限らない。日本人の美徳とされたものに「勤勉と貯蓄」というものがある。それを提唱し、生活思想に高めたのが石田梅岩という人物である。

「学者(学ぶ人)は、知識よりも心を磨くことを先にしなければならない。心を磨けば自らの行いを慎み、自らの行いを慎めば『礼』に合致し心は安らかとなる。心の安らかなのが『仁』である。仁は天に備わる根本の『気』である。天の気は万物を生み出して養育する。この心を会得することが学問の初めであり終わりでもある」

 石田梅岩は「石門心学の祖」といわれているが「石門心学」は余り知られていない。梅岩自身が商人の出ということもあり「町人哲学」といわれ、今日でも関西では「事業に行き詰まったら梅岩を読みなはれ」と言われ、「都鄙問答(とひもんどう)」と「斉家論(せいかろん)」は経営者のバイブルとなっている。

 江戸時代にあって商人は「士農工商」の最下位に置かれ「金儲け=賤しい」と軽蔑の対象にあった。商人の役割について「余ったものを足りない所に送り、社会全体を過不足なくすることだ」と推教え、倹約の公共的な経済効果を打ち出した。

 この教えは現在も同じこと。景気低迷の一因には、経営者らは倹約はすれどその余った分を足らない所へ送らず自分の所に留めてしまっている。最近の経営者というものは目先の儲けばかり考えて、また儲けたカネは身の回りだけで使ってしまうから経済が上手に廻らなくなる。要は、吝嗇家の経営者が多過ぎるということに尽きる。

 昔の企業家というのは営利よりも、先ず日本国の将来や国民の幸福を重んじていたのだが、今は米国の自由主義経済に毒され、梅岩の唱えた経営論なんて疎んじられる様になってしまった。企業人とはやはり社稷を重んじることこそ大事である。

 会社を興し稼ぐことは悪い訳ではないが、「その金を稼ぐ行為が最終的には国(社会)を豊かにするということが稼いだ意味である」ということを自覚しなきゃ稼ぐ意味は無い。新自由主義などの「自分が豊かになること」が目的である人というのは、幾ら稼ごうがその欲望は治まることはなく自分の人生に満足することが無い。

 悲しい哉、我が国の経済界は「青年日本の歌」の通り、正に財閥富を誇れども社稷を想う心なし。我が国の景気低迷の一因は経済人の心の乏しさに起因している。上杉鷹山の「心の赤字の解消」もそうだが、梅岩の経済理論も啓蒙すべきだ。

 日本再建を図る上で真の保守政治家を育てることも大事だが、営利至上主義を糺し、社稷を重んじる経済人を育むことが日本再建の鍵となるだろう。梅岩の教えの終局の目的は、日常生活の仕事を通して人格修行をするというところに在った。

 その答として、梅岩は「ボウフラは人を刺さない。だが蚊になれば人を刺す。これは蚊に人を刺してやろうという心があるからだ。また蛙は蛙だから蛇を怖がる。つまり全ては心が決める」と独自の見解を述べた上で更にこう付け加えている。

「即ち心とは形となって表れる。何かの形は、そのものの心を表している。従って正しい行いをしたければ、先ず正しい心を持たねばならない」。「心学」と云われる所以である。 そこで得られる結論は、簡単に言えば「らしく」ということ。

 武士は武士らしく、農民は農民らしく、商人は商人らしく、夫夫の道があり、その役割と責任を果たすことに拠って、社会の秩序安寧を保つというものである。

 政治家が経営者の様に、先生が生徒の様に、右翼がサラリーマンの様に生きてはダメだということ。政治家は政治家らしく、経営者は経営者らしく、先生も先生らしく、サラリーマンはサラリーマンらしく、右翼は右翼らしく生きることが正道。

「自分らしく」生きる。日本人の勤勉さは、先人のこうした教えや智慧を連綿と受け継いでいる。まぁそんなとこで、皆さんは「らしく」生きてますか。呵呵

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cordial8317 at 07:24│Comments(0)

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