オウム真理教に破防法が適用されなかった理由を検証せよ!純日本的精神を追求した国学者・本居宣長と平田篤胤

2023年03月22日

「袴田事件」の再審決定が遅れた理由は単なる司法のメンツ

 所謂「袴田事件」で、東京高裁は再審を決定した。東京高検が特別抗告を断念したことで袴田巌さんの無罪の公算が大きくなった。長年、支援して来た友人もおり、再審決定は嬉しい。だが、何故に袴田さんは死刑判決を受けるに至ったのだろう。

「袴田事件」とは、昭和41年6月30日未明、静岡県清水市(現静岡市)に在った味噌製造会社の専務宅から出火し全焼し、焼け跡から一家4人の死体が発見された。その後、味噌工場の二階の寮に住み込みで働いていた袴田巌さんが逮捕された。

 証拠品は、微量の血痕が付着したパジャマのみ。長時間の過酷な取調べの末に、終には袴田さんはつい自白してしまった。物的証拠が乏しい中で捜査が難航する中、一審の公判中の昭和42年8月31日、工場内の味噌タンクの中から麻袋に入っていた血痕の付着した衣類が発見された。パジャマから一転しこの衣類が証拠となった。

 パジャマの血痕、味噌タンクに一年も入っていたとは思えない衣服、犯行時に使用したと言われる切り出しナイフなど、誰が見ても不可思議な物的証拠と不当な捜査だったが、その証拠を理由に、昭和55年に上告が棄却され死刑が確定した。

 翌年、静岡地裁に再審を申し立てるも平成6年に棄却された。平成26年の第二次再審請求が認められ再審が決定されたが検察側が抗告。令和元年に再審取り消し。そして今回やっと無罪への道が拓かれた。不当逮捕から実に57年の年月を要した。

 何故に再審決定にこれ程までの年月を要したのかは、単なる司法のメンツに過ぎない。正に、過ちを文(かざ)り、屋上屋を重ねてきたことの結露であろう。

 冤罪を生む理由というのは、捜査の出鱈目さや逮捕した犯人への自白の強要や証拠の捏造及び証拠品の不確かな鑑定など様々だろう。今の時代は科学捜査が当たり前になっているが、昭和時代には信じられない様な驚く鑑定が相次いだのも事実。

 昭和24年、弘前大学の松永藤雄教授宅で妻が何者かに咽を斬られ殺された事件が起きた。間もなく近所に住む那須隆という男が逮捕され、彼の着衣から血痕が見つかり、それを証拠に犯人と断定された。彼は犯行を否認した儘で起訴されて、「反省も無い」との理由から情状は認められず15年の刑を丸々務めることになった。

 だが、那須さんが釈放されて間もなく、「弘前大学教授夫人殺害は自分だ」と、滝谷福松という男が名乗り出る。福松の証言に由れば、教授宅はミシン修理に行って面識もあり、犯行時の詳細を供述し、紛れもなく滝谷福松の犯行だったことが明らかになった。那須さんは早速仙台高裁に再審請求するが、何故か高裁は棄却した。

 その2年後、再審請求するとすんなり受理されて、無罪判決が出た。鑑定の結果、当時証拠とされた着衣の血痕は別のものだったという。そんな事は始めから判りきっているのに、何故に2年前には再審請求が却下されたのか。何のことはない、血液鑑定を行った古畑種基東大教授が生きていたという理由からだった。

 要は事実の解明よりも、科学捜査研究所所長も務め、陛下より文化勲章を授与された古畑教授の名誉というくだらんメンツが優先されたのだった。2年の間に古畑が鬼籍に入り、漸く無罪判決を得るが、こんな杜撰な鑑定や判決が昔は当たり前の様に行われていたという事実に驚きは隠せない。「袴田事件」も同じ様なものだろう。

 袴田事件を担当したのは紅林麻雄刑事。紅林刑事の拷問に因る尋問、自白の強要、懐柔、供述調書の捏造、自己の先入観、固定観念に因る違法捜査の常習者だった。「二俣事件」「幸浦事件」「小島事件」など、紅林が主導した捜査での行き過ぎが指摘されている。そんな疑惑も紅林が脳梗塞で鬼籍に入り真相は有耶無耶に。

 冤罪を生む元凶は、捜査に携わる人間の驕りや傲慢さや間違いを認めず屋上屋を架すからだが、冤罪は真犯人を取り逃がすことだ。冤罪で逮捕される方も気の毒だが、冤罪は被害者遺族にとってもその無念が晴れることは無いということを自覚せよ。

「過ちて改めざるこれを過ちという」とか「過ちては即ち改むるに憚ること勿れ」ともいうが、喩え司法と雖も過ちは犯すもの。過ちを文り、屋上屋を重ねるのではなく、過ちを素直に認め改めることこそ正義を守る上では最も大事なことだ。

 末尾に当り、袴田巌さんへの国家権力に因る不条理や不正義は言葉では言い尽くせないが、国民の一人として無罪を祈るばかり。また、再審請求に奔走した関係各位の努力や、無罪を信じ長年苦労を共にして来た姉のひで子にも敬意を表したい。

※コメントは返信するのも煩わしいので会員のみにさせて頂いております。コメント及びメッセージ、御意見御感想、近況報告などは mr.cordial@live.jp へ。

《会費&御支援の御願い》みずほ銀行 郡山支店 普1464729 ニッポンロンダンクラブ。年会費一般30000円。法人120000円。協賛会員300000円~。

cordial8317 at 06:28│Comments(0)

コメントする

このブログにコメントするにはログインが必要です。

オウム真理教に破防法が適用されなかった理由を検証せよ!純日本的精神を追求した国学者・本居宣長と平田篤胤