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2011年03月01日

少(わか)くして学べば、即ち壮にして為すことあり(佐藤一斎)

 少(わか)くして学べば、即ち壮にして為すことあり
 壮にして学べば、即ち老いて衰えず
 老にして学べば、即ち死して朽ちず。(言志晩録六十条)

 佐藤一斎の「言志四録」の一節「三学戒」である。生涯、学ぶことの重要性を説いたものだ。「言志四録」とは「言志録」「言志後録」「言志晩録」「言志耋(てつ)録」の四書を総称したものだ。一斎を知らない人でも、門下生を聞くと驚く。

 一斎は、朱子学と陽明学を教えたのでその門下生は数千人に及ぶ。朱子学としては、愚生の地元郡山が生んだ偉人・安積艮斎(あさかごんさい)や大橋訥庵、中村敬宇(正直)、佐久間象山、山田方谷、横井小楠、渡辺崋山などがいる。

 その佐久間象山門下から勝海舟、吉田松陰、小林虎三郎、坂本竜馬が輩出し、吉田松陰門下生には高杉晋作、伊藤博文以下錚々たる面々が連なっている。また一方で、西郷隆盛は直接の弟子ではなかったが、この「言志四録」を座右の銘としていた。

 言志四録の魅力は箴言が多いところだ。例えば人が学問をするに当たって師とすべきものは天、人、経の三つがある。その中で最上は天を師とすることであり、次いで立派な人を師として習い、その次は賢人の書を師として学ぶことである。(二条)

 全て事業を為すには、天の意に従う敬虔な心を持つ事が必要である。功績を人に誇示し、自分の存在をひけらかす気持ちが有ってはならない。(三条)

 人は生まれつき仁、義、礼、智、信を備えているのだから、この五常を極め尽くすべきである。また、孝、悌、忠といった職分が有るのだから、これらを当然の義務として実践すべきである。これが人としての正しい道である。(同八条)

 自分の過失を責めることに厳しい人は他人の過失を責める場合も厳格であり他人を思いやることの寛容な人は自分にも寛容であるがこれは何れも偏っている。教養の有る出来た人は自分を責める時は厳しく他人を責める場合は寛容である。(三十条)

 全千三百三十条在るが、政治に携わる人が知っておくべき五つの事項として。

 第一に「軽量」 財政上の軽量を計ること。
 第二に「時勢」 時代の動向を見抜いて事を行うこと。
 第三に「寛容」 人に接するに心が広く温厚なこと。
 第四に「鎮定」 争乱を鎮めて平和を保つこと。
 第五に「寧耐」 心を平静にして、よく忍耐すること。

 そして、賢明な人を採用し、心の曲がった人を遠ざけ、農業を奨励し、税金を軽くし、贅沢を戒め、倹約を重んじ、老人を大切にし、幼児を慈しむなど、何れも必要なことで誰もが知っていることである。(言志後録七九条)

 平成13年5月、教育基本法の議論の中で小泉首相が「三学戒」引用し一躍脚光を浴びた。小泉は、外務大臣の田中真紀子へ一斎の「重職心得箇条」を送ったところ、真紀子は「こんな江戸時代のカビの生えた話など要らないわよ」と一蹴した(笑)

 真紀子を筆頭にこういうバカ者が、政界にはうじゃうじゃ棲んでいる。今更乍ら、こうした連中に「重職心得箇条」や「言志四録」を読ませたところで滅私奉公する訳がないが、本来の日本人ならば「言志四録」は必読の書である。

cordial8317 at 05:03
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